![]() 第41回 水の都・三島で新たなコミュニティビジネスを構想する
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「右手にスコップ、左手に缶ビール」が合言葉、 実績を通じてネットワークを 広げていくことが大切だ。1950年生まれ。東京農工大農学部卒。73年静岡県庁に入庁。農業基盤整備事業の計画実施に携わり、88年地域総参加による三島市の源兵衛川親水公園事業の企画を担当。1999年より、市民・行政・企業がパートナーシップを組んだグラウンドワーク(環境改善運動)を三島市で展開。現在静岡県生活・文化部NPO推進室長。NPO法人グラウンドワーク三島事務局長、NPO法人富士山クラブ事務局長。静岡県立大学大学院非常勤講師も務め多忙な毎日。体重100kg、身長183cm。通称「ジャンボさん」の愛称で親しまれ、各地を飛び回りながら、実践的な活動をコーディネートしている。
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水の都の原風景復活が原点に
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市民とNPO、行政、企業が手を結んで、まちづくりや環境問題に取り組むグラウンドワークの活動が日本でも広がりを見せている。グラウンドワークは、1980年代に英国で始まった環境再生のための実践活動だが、市民が行政や企業とパートナーシップをとりながら環境改善に取り組むことによって、資金、人、資源、情報などを効率的に活用できる。日本で最初にグラウンドワーク活動を始めた「グラウンドワーク三島」では、環境再生からスタートし、現在は「水の都・三島」でのコミュニティビジネスも構想中だ。事務局長の渡辺豊博さんに、パートナーシップの成功の秘訣をうかがった。 ──グラウンドワーク活動がスタートして11年。まず、日本で最初のグラウンドワークが三島からはじまったのは、どんな理由があったのかから、お聞かせください。 三島は水の都です。富士山からの湧き水が1年中枯れることがなく市内をうるおしていました。ところが、昭和30年代あたりから急激に水が枯れたり、汚れ始めた。原因は地下水を利用する企業が増加したこと、行政の対応の遅れ、市民の無関心などいろいろあったんですが、いずれにしても、このままではとても「水の都」などと呼ぶことなどできなくなってしまう。そういう危機感を持った人が70人ほど集まって、1991年(平成3)9月に「三島ゆうすい会」が設立されたんです。
──市内には「三島ゆうすい会」のほかにも、環境保全やまちづくりなどの活動を行っている市民組織があったわけですね。 ええ、三島ホタルの会、三島青年会議所、源兵衛川を愛する会、三島商工会議所などが、水辺環境の再生をテーマに活動していました。ただ、それぞれがみんなばらばらで、市民活動も行政と同じで縦割り型になってしまっていたんです。同じような行事や活動が散発的に行われていて、経費的なムダも発生していた。そこで、三島ゆうすい会が、8つの市民組織に相互に連携して情報交換や意思疎通の場を作ろうと呼びかけたんです。議論を重ね、92年9月に市民団体と三島市、地域企業などがひとつになって、仲介型NPOである「グラウンドワーク三島実行委員会」が結成されました。そして、99年10月には「グラウンドワーク三島」としてNPO法人に。結成から11年経ったいまでは、20団体が参加しています。 ──これだけの市民団体をまとめ上げる作業はたいへんだったろうと思われるのですが。 なにしろそれぞれ独自の目的とポリシーを持って活動している市民団体をネットワーク化し、まとめようというのだから、一筋縄ではいかない。発足にあたっては、月に数回の話し合いを1年間以上も重ねました。その話し合いでは「市民団体の役割は行政の監視だ」とか「企業にメリットはあるのだろうか」、さらには「違う組織がいっしょになって、いったいどんなメリットがあるのか」等々、実にいろいろな意見が出ました。 ──ベクトルがバラバラではまとまりません。 やはり、まず共通の想いや目的があること。そして参加のメリットが明確でなければダメです。三島の場合は、かつての豊かな湧き水の流れる自然環境の復活でした。メンバー共通の原風景を取り戻そう、これが原点になりました。また参加することによって、小さな団体で財政規模が脆弱でも、資金的な支援や専門知識と情報・ノウハウの共有ができ、人的ネットワークが強固になる。こういったメリットが活動を重ねるにつれて浸透していきました。 ──NPO同士のネットワークづくりとともに、行政との連携もカギになりますね。どんなアプローチが有効でしょう? 行政では、1つか2つの市民団体では、「あなたのところだけ特別に予算をつけるわけにはいかない」と、予算付けや援助をしてくれない場合があります。ところが、複数の市民団体が1つにまとまれば行政としても援助しやすくなりますし、それだけのネットワークを持った組織ですから、無視できません。一方、行政側にも市民の協力と理解が得られやすくなるとか、効率的、建設的な行政運営ができるメリットが出てくる。このことを行政にまず理解してもらうことが必要でしょう。 ──行政も往々にして縦割りで、なかなか話が進まないケースも多いのでは。 地域の環境改善やまちづくりにかかわったときにぶつかる壁が、この縦割り行政なんです。そこで、行政内部にNPOやグランドワーク活動専門の支援スタッフを配置してもらい、行政組織内部の各課の役割調整を図ってもらうとスムーズですよね。また行政マンが地域に飛び込んで積極的に市民とコミュニケーションしていくことで、みずからの意識改革ができるし、ひいてはそれが行政内部の変革にもつながる。参加企業にとっては手応えのある社会貢献ができますし、異業種交流のチャンスにもなります。3者のパートナーシップのメリットは実に大きいのです。
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「アクション」「パートナーシップ」「環境創造」が3本柱
──グラウンドワーク三島では、発足以来どんな活動を展開しているのですか。 まず、活動の原点ともいえる三島市を流れる源兵衛川再生プロジェクトがありますね。源兵衛川は蛍が舞う清流でした。ここが十数年前はドブ川同然だったんです。投げ捨てられるゴミも多かった。そこで専門家もまじえて生態系調査を行い、かつての水辺の暮らしを彷彿とさせる川環境をめざしました。川の上流にある企業には使用済みの冷却水を川に流すように交渉し、行政には水路の整備と下水道整備を求め、市民もスコップを手に川の整備に参加しました。いまではこどもたちが川遊びする絶好の場所です。源兵衛川再生事業は、さらにJR三島駅前広場に疎水を流したり緑を植えたり、「街中がせせらぎ」事業へと展開しています。
このほか、鎮守の森探検や自然観察会、学校ビオトープづくりなどの環境教育、荒れ地化した公園の整備、井戸や水車、お不動さんなどの歴史的資源の復活、絶滅が心配されている水生植物バイカモの保存、水辺ゴミ拾いツアーの企画など活動は実に多彩。三島市は人口11万人ですが、延べ1万5000人の市民が何らかの形で参加しているんですよ。
──そういった活動プランは、だれが決めるんですか。 最終決定は市民・行政・企業の代表者による「理事会」で行いますが、メインの活動政策や企画立案は主要団体の中心メンバーが参加する「コアスタッフ会議」で決定し、プロジェクトごとの段取りや事業プランは、参加団体から4〜5名のスタッフを出してもらって、各プロジェクトごとに進行しています。こうして企画ごとに関心のある人が集い、さまざまな小さな点の活動が拡大して、川という線で連結し、まちづくりへと広がっていってるんです。 ──ゆるやかな連携とプロジェクトごとの結集がポイントでしょうか。 具体的な行動を通じて、成果を残すことがなにより大切だと考えています。合言葉は、「右手にスコップ、左手に缶ビール」「論より実践」「走りながらものを考える」。定款や規則はなるべく簡単でファジーなものにして、それぞれの組織の信念と自由度を尊重する。問題解決のために議論し、汗をかき、なしとげたあと、次のプランを検討していくなかで、相互の信頼が形づくられていくもの。そのプロセスがなによりも大切でしょう。
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環境コミュニティビジネスへ
──経済産業省が、事業者、NPO、市民などが連携して環境に配慮したまちづくりに取り組む「環境コミュニティ・ビジネス」を育てようと、2003年度の環境コミュニティ・ビジネス事業を公募しましたが、グラウンドワーク三島の提案もモデル事業に採用されましたね。 私たちが提案したのは、「水の都・三島の水辺自然環境の改善を目指す『市民公協環境ビジネスネットワーク事業』」です。これは今までの成果を踏まえて、商店街とも連携してビジネスに結び付けようというもので、リサイクル製品やエコ商品の販売、ごみの有機肥料化などを事業とする「せせらぎシニア元気工房」の設立、箱根山麓で採れるジャガイモ、白菜などの地域の特産物の開発と販売などを手がける「食采工房」の創業、環境ビジネスを推進するための「せせらぎにぎわい市民公社」の設立などが主な事業プランですね。 ──グラウンドワーク三島の経済基盤の強化にもつながりますが、ねらいはどこに? 助成金では、活動目的が限られてしまう、もっと自由な発想で、自由にプロジェクトを運営する資金がほしい、という現実的な問題がひとつ。それ以上に大きいのは、共通の夢を育てていくということ。グラウンドワークの活動というのは、つまるところ市民がみずからの手でまちをつくっていく活動です。環境改善活動に取り組むなかで、まちを見ていくと、いろいろな問題が見えてくる。高齢者の増加や、商店街が元気がないこと、コミュニティ意識が薄れていること……。それを、みんなでビジネスを育てる過程で解決できないか? 地元の野菜や特産品を活用したレストランやショップとか、これまでの活動から一歩広がったビジネスに取り組むと、別のつながりが生まれてくるはずです。シニア世代の生きがいづくりにもなるし、若い人も参加できる。儲けがすべてではなくて、楽しみながら人々のつながりが深まり、その活動がまわっていくようなスキームがつくれたらと思っています。新たなステップを踏むことで、市民組織の熟度を上げていきたい。
(Text:OMATA Yasuo/TAKAGI Sachiko)
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蒸し料理レシピ
