第106回 温暖化防止から、脱炭素・活炭素へ
IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所] 代表者 川北 秀人
前回に続き第9回の「環境・社会報告書読者アンケート」(2008年10月・11月実施)の分析から、今回は「脱・温暖化防止」をどう進めるかについてお話ししたい。
今回の調査でも、「関心の高い環境問題」を3つまで選ぶ設問で、75.1%が「地球温暖化」を挙げ、今年も2位の「大気汚染」(29.5%)を圧倒的に上回る第1位となった。

性別・年齢別で見ても、2006年に比べて、既婚20代の男性・女性ともに10%近く増加し、男性では77.0%、女性では81.6%にまで達している。

経営者の6割以上が
「脱炭素は戦略・絶対条件」
今回は例年の調査に加えて、「脱炭素」と生物多様性という2つのテーマについて、その意義の認知や重要性への評価をたずねてみた。このうち、脱炭素については、「グローバル競争に勝ち残る戦略シナリオとして、国・企業が団結して取り組むべき」とする回答が全体で25.0%、しかも既婚の男性が女性の回答より10%も高い。さらに「CO2削減目標達成の絶対条件として取り組むべき」という回答も全体で37.4%に達し、「戦略とすべき」と合わせると全体の62.4%、男性では68.3%にも及んでいる。
このように、重要性が高いと認識しているのは、環境関連の職に就いている人ばかりではない。回答者全体の4%あまりを占める会社経営者も、「戦略とすべき」が29.1%、「絶対条件とすべき」が35.6%と、合わせて64.7%に達している。

脱炭素は、活炭素
では、「脱炭素」とは、何から、どうやって始めればよいのか。簡単に言い切ると、「炭素の使用を止める」のではなく、「炭素の潜在的な可能性を最大限に使いこなす」こと、つまり、燃料としてではなく、原材料として炭素を生かす「活炭素」だ。
納品が遅れに遅れているが、次世代の旅客機が「省エネ」と呼ばれるのは、エンジンの性能ではなく、機体の軽量化、それも、金属から炭素繊維への切り替えが最大の要因だ。同様の切り替えが自動車や鉄道にも広がると、10%以上の燃費効率改善につながる。
新しい特性が次々に発見されているカーボン・ナノチューブも、アスベストのように吸引しないための処理や工夫をしっかり施せば、また、充電・発電用の電池や水の処理などに用いられる各種の膜も、炭素の潜在的な可能性を使いこなす手法となる。
もっと身近なものとして、「エコキュート」の名で知られる給湯器は、ヒートポンプの冷媒に二酸化炭素(CO2)を使用している。このシステムを開発し各社に供給しているデンソーでは、灯油を燃料とするエアコンを改良して、使用済みの食用油を燃料とする機種を実証実験中だ。
炭素は燃やすのではなく、どう生かすか。2008年の洞爺湖サミットで福田首相が約束した「2050年にCO2排出量半減」という目標を実現するためには、20世紀の前提を捨てて、21世紀の新しい常識を生み出すしかない。
(update:2009.1.22)
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