第140回「わかりやすさ」は、相手を知って応えることから
IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所] 代表者 川北 秀人
国内外で大規模な自然災害が相次いだ2011年に続いて、2012年も、米国、フランスをはじめ主要各国で大きな選挙を控えており、国内では団塊の世代が年金受給者へとシフトするなど、大きな社会構造的な変化を避けられない1年になる。価値と組織の加速的なグローバル化が、猶予も躊躇も許されない今、CSRのコミュニケーションをどう進めるべきか。2000年に始まり12回目を迎えた「環境・社会報告書リサーチ」の結果をもとに、3回にわたってポイントをご紹介したい。また、今回も4万人を超える方々に調査にご協力いただいたことを、この場を借りて、深くお礼申し上げたい。
相手にとって必要なデータを咀嚼して、身近な場面で
CSRに関するコミュニケーションが、自社や製品・サービスへの信頼に結び付くために、「わかりやすさ」を高めなければならない、という意欲を持ちながら、苦労していらっしゃる企業は少なくない。今回は、国内調査の主な設問で男性と女性の集計結果を比較してみた。まず、下記の5つの図表をご覧いただきたい。※それぞれの画像はクリックで拡大します。
回答率の男女差が大きい項目に注目すると、女性からの信頼性を高めるには「読者にとって重要・必要な情報」について、「工場・事業所の見学」や「イベント」、「マスメディア」や「商品のパッケージやラベル」、「店頭ポスターやパンフレット」など身近な場面で、「具体的な資料や数値」を示しながら、「専門用語」を使わずに表現することが求められていることがおわかりいただけるだろう。
裏返して言えば、これまで、ガイドラインに示された項目のデータ集計や事例収集をもとに行われてきた開示だけでは、わかりにくい、つまり結果として、安心感や信頼を損ねてしまうことにもなりかねない。
網羅性・詳細さと、わかりやすさを両立するために
では、投資家や取引先の調達担当者、私たちNPOといった、詳細な情報を網羅的に求める人たちと、個人としてある商品を選ぼうとしている人々のように、今、自分にとって納得し安心できるわかりやすい情報を求めている人たちとに、同時に応えるためには、どうすればいいのだろうか。 これまで何度も繰り返してきたように、CSRレポートに求められる基本的な構成は、トップ・マネジメントによる率直かつ明確・具体的なコミットメントと、その実践を裏付け成果と課題を明らかにするデータと、プロセスを追って具体的に理解できるケース(事例)の3つだ。「こういう体制で管理している」「こんな制度がある」といった文章や図表は、納得や安心の材料にはならない。そのかわりに、環境・人権・従業員といった主な項目について設けた章の冒頭に、見開き程度で、自社の取り組みの成果と今後の課題を、率直かつ簡潔にまとめたページを設けることだ。そこには、実現できた成果(よいこと)だけではなく、実現できていない課題についても、今後の取り組み方針とともに明記することが不可欠だ。
もうひとつ、今回の調査結果からも、もはや無視できなくなってきたのは、工場や事業所、商品のパッケージやポスターなど、生活者の身近な場面でも社会責任への取り組みを明示することの重要性だ。
「わかりやすさ」を求める人たちのリテラシーや感性を育てるには、具体的な情報を継続的に示し続けるしかない。レポートだけで開示する・知らせるのではなく、商品や店頭、工場や車両、さらには名刺や封筒などにも、社会責任を果たすための取り組みを例示し、「詳しくはウェブへ」と誘導するしかけが不可欠になってきたと理解すべきだろう。
なお、エコプロダクツ2011会期中の12月16日に開催された「環境・社会報告書シンポジウム2011」では、本調査の主要項目に関する分析の報告を行っている。ぜひこちらをご参照いただきたい。
(update:2012.1.19)
関連リンク
- 環境goo |
- CSR |
- CSR |
- 環境・社会コミュニケーションの考え方・進め方
- おすすめ情報
-
- 東日本大震災 復興支援

-
今、わたしたちにできることは何だろう?
- 金環日食特集

-
5月21日!25年ぶりの金環日食
- eco検定
-
第12回eco検定申し込み登録が開始!
- 大人の社会“化”見学
-
大人の社会“化”見学 あなたの知らない企業の裏側を現場レポート!
- 生物多様性特集
-
生命溢れる美しい地球、その未来に何が待つのか、知ってください
- エコ×エネ・カフェ
-
これからの日本のエネルギーの未来を語ろう!
- 東日本大震災 復興支援
- 環境クイズ
- 環境用語集アクセスランキング
-
2012年04月のランキング 1 シェールガス 2 コージェネレーション 3 地球温暖化 4 ゴミ分別 5 京都議定書 6 絶滅危惧種 7 ハクチョウ 8 化学的酸素要求量(COD) 9 捕鯨 10 エネルギー問題 >>もっと見る





ヘルシーレシピ



