IIHOE [人と組織と地球のための国際研究所] 代表者 川北 秀人
第16回 環境広告「5%」時代の表現力
──もう一度、エコ・ブランディングを組み立てる──
以前掲載されていた「環境広告出稿量調査」というページの2000年度分の集計(速報値)を目にする機会に恵まれた。業種別に見た広告出稿量の上位は、不動産・住宅関連やエネルギーなど予想通りだったが、強く印象付けられたのは、「環境広告が特別な存在ではなくなった」ことだ。
1%・2%から5%へ
わずか数年前まで、環境広告は、企業の方針や取り組み姿勢、特徴的な成果などをアピールする、いわば企業広報(コーポレート・メッセージ)だった。
企業広報広告はあくまで、その企業が実施する広告・宣伝活動全体の中では、1%程度にとどめなければならない。それを超えると「企業姿勢はわかったけど、実際の商品(製品・サービス)は?」「イメージが強調されて、具体的な製品・サービスが見えない」と、逆に読者に不安や不信を抱かせかねないからだ。
ところが環境広告は、その1%を超えて2%台に達しているばかりか、5%をも目指そうという勢いで増えている。全国紙だけでなく、業界専門紙・誌への出稿、さらにはこの10年間に相次いで創刊された環境・エコロジー専門誌への出稿を合わせると、筆者の表現が決して大げさではないことをご理解いただけるだろう。
環境広告「5%」時代の表現力
環境広告「5%」時代の到来。それが企業広報の枠を超える以上、「目指します」「こういう商品・技術もあります」という意欲や断片的な連呼だけでは、読者に届かない。環境広告の主たる目的が、企業イメージの発信から、商品選択上の判断材料の提供へと急速に推移した事実は、グリーン調達法施行のインパクトが現れたといえるだろう。
「社会制度化される」ことによって対応を迫られる企業や市民の視点の一歩先から、具体的な選択肢を示せているかどうか。これは容器包装リサイクル法の施行時にも既に一部見られたことであり、今後順次リサイクル法が施行される建材や食品でも、同じことが起きると覚悟しておいた方がいい。
最初は尖ったイメージを断片的に伝えるだけで、トップランナーたちが反応してくれる。しかし普及期に入ると、成功事例やユーザーのコメントなどを通じて、具体的な効能をかみ砕いて、わかりやすく伝える必要がある。しかも環境性能でも技術革新が進みつつあり、継続的な広告・広報が不可欠だ。
もう一度、エコ・ブランディングを組み立てる
企業が、全社の総力を挙げて環境保全型・負荷削減型の商品だけを供給することは、現実にはまだ難しい。そこでもう一度、エコ・ブランディングを組み立てるべき時期が来たのではないだろうか。
これまでのエコ・ブランディングは、環境上の性能を訴えるキャッチフレーズと、水平展開的な商品群に与えられたチーム名に過ぎなかった。すると個々の商品(アイテム)の相対優位性もすぐに埋没してしまい、飽きられてしまうことが少なくない。
しかしこれからは、個々の商品の機能や環境性能を継続的に向上し、さらに積極的に世代交代することで、商品群としての成長を見せ、それをブランドのテイストとしていくことが改めて重要になってきた。たとえば自動車業界であれば、個々の車種の環境性能を高める努力が続いているが、それを市民にわかりやすく伝えるために、車種名とは別に、環境配慮型車種群であることを示すブランド名が必要になる。(トヨタで言えばプリウスという車種名だけでなく、環境配慮車種群を総称するファミリー名を、ということになる。)それは家庭用電気製品でも、食品でも同様だ。
環境配慮型・負荷削減型の商品が増えることは、社会的にはとても望ましい。しかしそれを市場へ送り出す企業にとっては、市場の拡大とライバルの増加を意味する。個々の商品の効能を訴えるだけでなく、ブランドとして商品群を育てながら供給することが、全社のブランド力強化にもつながるだろう。
水平展開的な商品チーム名から、成長する商品群のテイストへ
