環境goo大賞2007
川北 では、審査員の方からのコメントをお話しいただきましょう。
富岡 HPを作ると言うこと自体には、みなさん手慣れてきています。技術に関してはシンプルに勝負すればいいと思います。やはり、中身、コンテンツそのもので勝負したい。今回の中では、キユーピーさんのブログには感動しました。中身で勝負できているのではないかと思います。
と、いいながら、世の中は方向的にはフラッシュに向かっています。ですから、フラッシュで見せていくポイントと、中身で勝負する部分をしっかりプライオリティをつけて、構築、運営に注力していっていただければな、と思います。
飯島 3年前ぐらいにSNSの研究をして、1年半ほどフラッシュの動画の研究をしていました。たぶん、1年後にはほとんどが動画になるだろうというふうに予測しています。特に環境の場合はエビデンスを取るのに、まさに重要だろう。ゴミの処理についても、現場ではこういう風にしているよ、というのが動画で見せられればいいかなと思っています。
コメントは「難しくても大丈夫」というものです。制約条件、開発条件で難しいところにチャレンジしているサイトはやはり注目されます。つまらないところで難しくする必要はないのですが。
ちょっとエピソードを紹介します。アメリカでインターネットが普及し始めた頃に、ある親御さんが小学生の息子にアメリカを全部見せたいと思い立ったんですね。学校にも行かせずにキャンピングカーに乗って旅をするわけです。その小学生は全米を回っているということをインターネットで書き始めました。最初は非難も浴びました。「小学校にも行かせないで、何という親なのだ」というわけです。ところが、その子どもが素晴らしくて、インターネットで質問をし始めたんですね。そうすると、世界の名だたる先生が答えを書き始める。それをみんなが読む。開かれていく原点は、わからないから質問をする。その質問に応えていく人たちがいる。これがインターネット上のリテラシーの部分の最たるものだろう。と思います。私は、インターネット自体は性善説で考えていますが、そういった人たちが新しいコミュニティ形成し始めるのだと思っています。難しくても大丈夫、わからなくても大丈夫という世界なのだと思います。ふつうわれわれは、わからないから出さないようにしよう、難しいから止めようとなるのですが、一番重要なのは、ここまでやったけど誰か助けてくれ、というメッセージが環境に関しては特に大事だと思っています。
星野 行動に繋がるような情報、人を巻き込める、増幅させて具体的なアクションに繋がっていくようなツールとして使えればいいと思いますね。

「誰がどう動いたら波及効果が生まれるのか?に焦点を置くべき」と語る川北秀人さん。
川北 誰がどう動いたら波及効果が生まれるのか。そういったところに、絞っていくしかないんですよね。まず、オープンであるというのは前提になりました。オープンを前提に考えると、全員を同時に動かすことはできない。だったらどうするか。「次にこういう人がこう動いたら、こんなことになるんじゃない?」という戦略的な動き方を目指すことです。例えば、私たちの団体が企業の取り組みを促したいというときも、どの会社が動けばよその会社が「おおー」と思うか?という戦略を考えます。また、私たちの団体では「どうすればドミノが倒れ続けるのか?」を考えなさいということも話します。誰にどう動いてもらうために、どういう波及効果を生んでいくのか。動きを呼びかけるだけではなく、動きたくなるような、そんな踏み込みがあるかどうかが大事です。
2つめ。オープンが前提であるということは、逆に言うと、先取りした方がいいということです。誰かが動いていくところで、質問に応答する形でサポートしてくれる、チャレンジを受け止めてもらえるコミュニティができているということもあります。そうした下地があるからこそ、先ほどの松下電器の試みも、あるいは環境報告書を読む会や質問する会というのを8年前に始めたわけです。
企業側から報告されて、それを市民が読む。それで企業と市民の責任は終わりかというとそうではない。「どうしてこういうことはできないの?」とか、「こういうことはどうして始めたの?」とか、質問されることによって、企業が次に自分たちが何に力点を置けばいいのかを考えるベースやきっかけにつながるわけです。
本来的な意味での双方向性とは、情報を発信する側も踏み込まなければいけないし、受け取る側も質問したり、反論するといった形で、本来的な意味でのコミュニケーションを繰り返していくことが大事です。
議論白熱の審査会
2008年2月14日、NTTレゾナント本社会議室で行われた環境goo大賞2007の最終審査会の光景。川北、飯島、富岡の各氏が、それぞれの立場から、各HPをひとつ一つ時間をかけて討議しました。2007年の評価基準のキーワードは、「エンゲージメント=いかにして人々を巻き込んでいくか」でした。活動の紹介、メッセージの発信に留まらず、双方向のコミュニケーションを実現した上で、見た人に行動を促すようなサイト作りに焦点が置かれています。
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