王子製紙株式会社 原材料本部 海外植林部長 田野岡章氏 |
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植林が環境保全にはたす経済効果は、お金に換算しづらい |
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───2010年度までに海外の植林面積を20万ヘクタールにするという計画を立てていらっしゃいますね。
製紙連合会全体で55万ヘクタール、そのうち20万ヘクタールを当社で、ということです。当社がこれまでの30年間で植林してきたのが9万ヘクタール、土地の手当てはついているという分も含めると12万ヘクタールになっていますが、それをこれからの9年間で倍増しようというわけです。あくまでも計画ですから、経済動向などによって揺れることもあると思うんですが、そうむずかしい目標ではないと考えています。当社の国内の所有林は19万ヘクタールですから、国内と海外にほぼ同規模の森林資源を確保するということになります。
───20万ヘクタールは、東京都の総面積にも匹敵します。パルプ材を確保するために、そんなに広大な森林が必要なんですか。
紙の国内需要はこれからはそう大きく伸びないでしょうし、紙の生産設備もそう簡単には増やせないと思いますが、たとえば中国の国民1人当たりの紙の消費量は、日本の10分の1です。これが10分の2になっただけでも、パルプ材の国際的な需給バランスはかなり大きく変動するはずです。つまり、製紙原料の確保が難しくなる。そういうことも考えての植林事業なんです。
ちなみに、20万ヘクタールの植林によって確保できるパルプ材は、当社が現在使用しているパルプ材のほぼ3分の1に相当します。
───CO2の吸収・固定化効果も大きいんじゃないですか。
国内の社有林を含めて計算すると、2010年には、当社のCO2総排出量の約56%が植林によって固定化されることになります。ネット排出量も1990年と比較して30%以上が減少することになります。
ただし、こういう数字は、京都議定書などの評価対象にはなりにくいでしょうね。これから植えるぶんについては評価対象になる可能性もありますが、たとえ評価され、お金になったとしても、海外植林は現地法人がやっていることですから、当社の直接的な収益にはなりません。もちろん、そういう評価は得られなくても、そもそもがそういうことを目的にした事業ではないんですから、塩害を防ぐ効果があるというようなことを含めて、現地で評価されれば十分だと考えるべきかもしれません。
国内の社有林は19万ha所有していますが、水資源の保全、土砂の流出防止、大気の浄化といった公益的機能を、農水省が作成している評価手法で算出すると、その評価額は年間5800億円にもなります。しかし、この森林の維持費用は年間5〜6億円になっていますが、今後もこの森林を維持していくことにしています。
───エコロジーのための植林を視野には入れつつも、本業を盤石にするための海外植林であるということですね。
もちろんです。ただ、これも見なし効果のうちに含めていいと思うんですが、昨今、植林木を原料にした紙が、再生紙と同じように、エコロジカルな紙として評価されるようになってきたということはあります。植林木100%使用紙を自社のカレンダーに使ってやろうという企業さんも出てきています。紙の値段に差があるわけではありませんが、植林木を使用しているということで、再生紙と同様に環境に配慮しているというブランド力がつけば、植林事業にもはずみがつくだろうと考えています。 |
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田野岡 章(たのおか あきら)氏プロフィール
王子製紙株式会社海外植林部長。1950年愛媛県生まれ。1973年北海道大学卒業後、旧本州製紙株式会社入社。入社後は製紙原料である木材チップの集荷業務を主に担当。1986年から3年間および1994年から4年間の通算7年間は、パプアニューギニアで植林から伐採・チップ加工・輸出を行うJANT社に出向。2001年から現職。 |
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