Q&A リサイクルがダメなら、環境を守るにはどうしたらいい? [武田先生への質問]
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大石佳加 学生 愛知県 20歳
私は、武田先生のレクチャーの題を読んで、大きなショックを受けました。しかし、それとともに、何でそういう考えにいたるんだろう?と疑問に思い、すごく関心を持って読ませて頂きました。
私は、名古屋工業大学 材料工学科 有機材料コースの3年です。中学校のときから、ゴミなどの廃棄物処理、リサイクルに興味があり、将来はそのような関係に就職できた
らと考えて今にいたっています。 私にとって、『リサイクル』というものは、資源のない日本にとって、循環型社会を形成していく上で、必然的なものと考えていました。すべてのものが何らかの形でリサイクルされる世の中にならないものか?と無茶な考えもいまだに持っています。
とりあえず、私の中で『リサイクル』はいいイメージでしかありませんでした。
しかし、武田先生のインタビューを読んで、自分の考えていたことをすべて否定されたみたいでショックでした。でも冷静に考えてみたら、武田先生の言っていることは正論な気がしてきました。
工業的な方面からみても、経済的な方面からみても、『リサイクル』はマイナスな部分が多すぎる。自分は、ただ『リサイクル』というものだけに重点をおいていて、そのまわりをみていなかったということがよく分かりました。
そこで、私から質問をしたいのですけど、一体、先生はこの先日本はどうすればいいと考えていらっしゃるのでしょうか? リサイクルはダメ、しかし大量生産、大量消費社会は変わることはない、そうなってくると、他にどんな手段があるのですか?、
半永久的なもの、永久的なものを製造してしまえば、これまでのことは全く考えなくていいけど、そんなわけにはいかないし・・・。ぜひお聞きしたいと思います。
インタビューを読んでると、武田先生は、まるでリサイクルを全否定しているかのように読み取れるのですが、私は先生がそう思っていると思えませんし、わたしもリサイクルについて全否定はしません。要は、どう効率良くリサイクルするかだと思います。
『リサイクル』という名にあったリサイクルをすることが今の日本に必要なんだなって思います。
明日から私は夏休みにはいります。今年の夏休みは容器包装リサイクル法について、環境gooのホームページをみる以外にもっと詳しく調べていきたいと思っています。
武田先生の本も読ませて頂きます。他に何か参考になる資料を教えて頂ければ光栄です。 |
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- 20世紀に私たちは科学技術を駆使して物質文明を享受し、文化的な生活をするようになりました。そのこと自体は正しかったように思います。
たとえば平均寿命で見ると1900年に国単位で平均寿命が50才を越えていたのはスウェーデンだけで多くの国の人たちは短命で悲しい人生を送っていたからです。
しかし、私たちは少し行きすぎました。1940年代には人間の活動が全体として自然の活動を上回り、その影響は1963年に出版されたレイチェル・カーソンの「沈黙の春」で示されたのです。
その後も人間は自然との共存を考慮せずにひたすら自らの欲求を満足させるために物質とエネルギーの消費を増大させ、地球温暖化、オゾン層の破壊などの地球規模の環境汚染、そして21世紀の中盤には資源の枯渇の危機を招いています。
私たちの日本は今、一年間に20億トンの資源を使用して活動をしています。そして使用した資源は廃棄物となって捨てられ、結局はその後始末は自然がしています。
しかし、自然の処理能力は現在の日本人が使用する3分の1から10分の1程度と推定され、自然は悲鳴を上げています。
そこで「リサイクルをして、今まで自然が担当した廃棄物の循環を人間がしよう」という機運なってきました。その気持ちは正しいのですが、科学的なことは「気持ち」や「願い」だけではうまくいきません。
リサイクルの基本的な間違いは「リサイクルをするために使う物質やエネルギーはどこから持ってくるか」と忘れていることです。
もともと「リサイクルをしている」という人で本当にリサイクルをしている人はほとんどいません。ほとんどの人はペットボトルを「リサイクル箱」に入れたり、紙をまとめて出したりしているだけです。
そのために「リサイクルをするには物質とエネルギーがかかる」ということを実感できないでいます。たとえば、ペットボトルは石油を40グラム程度使ってできていますが、これをもったいないと考えてリサイクルに出すと、トラックの燃料やタイヤ、
リサイクル工場の運転などで150グラム以上の石油を使います。この事情は紙のリサイクルでも同様です。
つまり現在の環境破壊は人間が使ったものがあまりに多いので、自然が処理して綺麗にできなくなったことに原因しています。自然の代わりに人間が廃棄物を処理しようとしても、
サの処理に使う物質やエネルギーは自然から借りるのですから基本的には同じことなのです。
このような考え方になるのは、私たちはいまだに「自然は自分たちのものだから、勝手に使って良い」と考えているからです。たとえば、「風力発電は環境に良い」というので、その理由を聞いてみると「自然エネルギーだから」という答えが返ってきます。
自然エネルギーを利用しているのは人間だけではありません。風は海から水を蒸発させ、木々の間を吹き抜け、花粉を運ぶことなど自然が利用しています。もし、風のエネルギーを人間が使えばそれだけ自然は被害を受けます。
実は私たちがリサイクルをしたいのは「今、使っているものは減らしたくない。しかし環境は汚したくない」という虫の良い考え方なのです。本当は、物質やエネルギーを使えば自然はそれだけ負担になります。使っているものを減らさなければ解決はしません。
そして、家庭電化製品で分かるように、平均12年の耐久性で設計されているものを6年で捨てています。リサイクルは「捨てやすくする」という効果を生み、生産量は上昇を続けています。これはアルミ缶でもペットボトルでも同じです。
私たちは環境を食い物にして遊んでいると言えます。
私たちの将来を守るために、私たちがすることは次のようなことでしょう。
- 1. 自然が処理できる範囲でものを使う(今の約3分の1)
- 2. 自然を利用するときは自然にお伺いを立てながら慎重に利用する
- 3. クーラーのような「他人を暖房する器具」を夏に使わない
- 4. 工業製品はできるだけ長く、丁寧に使う
- 5. どうしても捨てるものは全量を焼却して人工鉱山に埋め、将来に備える
最後の5番だけは「日本を守る」という見地からです。21世紀の中盤には資源が枯渇します。日本はほとんど資源を持っていないので、現在のように「すぐリサイクルをする」という方法を採っていると、
世界の資源が無くなるとともに日本の資源も同時に無くなります。地球環境と言う点ではそれでも良いのですが、日本を守るという立場では、日本で使ったものをできるだけ日本の中に取っておきたいものです。
また、拙著「リサイクルしてはいけない」(青春出版社:手に入りにくいので書店で注文してください)をご参照ください。
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