美しい味の日本 特集 Vol.2 日本一きれいでおいしい町 みなまた (熊本県水俣市)
文・島村菜津 写真・菊地和男
かつて『水俣』という言葉から連想したのは、モノクロの映像の中で水俣病の痛みに苦しむ人々や、公害で汚染された海であった。しかし水俣病公式確認から51年の月日が流れた今、水俣は無農薬で作ったお茶や柑橘類の日本有数の産地であり、季節ごとに豊かな実りをもたらす自然に恵まれた土地として注目されている。足元の資源を活かし、自然と共存する水俣の暮らしに、現代の食や環境問題を解決するヒントがあった。
Vol.2 日本一きれいでおいしい町 みなまた (熊本県水俣市)
Part 3 食を作る人が、町を創る人
“やまはは”たちの創造力と自給力に脱帽!
やや頬を紅潮させて、堀江シェフが、ぜひ会ってみて欲しいおばちゃんたちがいるという。わけもわからず向かった先は、水俣川の上流、寒川沿いの久木野に住む中村タエコさん(七十三歳)の家。
“峠の茶屋”復活か 無農薬紅茶と緑茶を作る天野親子の楽園
水俣というと、誰もが海を思い浮かべる。ところが、七割り以上が山。その谷間には石垣で囲まれたなだらかな棚田や、堂々たる楠の巨木に囲まれたお寺さんといった懐かしい光景が拡がっている。
“おいしいものは美しい” 無添加いりこの杉本さん夫婦
海は蒼く澄んで、南国らしい光がまぶしく反射していた。みかん山に見下ろされた小さな入り江で、今日も、漁師たちの守り神、恵比寿様の像は満足げだ。
Part 2 堀江シェフ、みなまたの幸に感動
料理界の“堀江シェフ”は、名実ともに懐の大きな男だった
今、西麻布の『ラ・グラディスカ』というイタリア料理店は、なかなか予約がとれない人気店だ。その堀江純一郎シェフは、イタリアで第一シェフをしていた時代、ミシュランの星を獲得した腕の持ち主だ。
神の宿るお米 〜堀江 純一郎〜
堀江シェフが想うみなまたの味とは。イワシ、ウイキョウ、黒胡麻のパスタや干たけのこのアンチョビグラタンなど、レシピも一緒に紹介する。
Part 1 公害の苦しみを乗り越え、日本一美しい町を創る
地元学のすすめ 「水俣病資料館」地元学ネットワーク主宰 吉本哲郎館長
不知火海を臨む高台に建つ『水俣病資料館』は、水俣病と闘い、偏見による差別を受けた被害者や家族のつらい体験を通して、公害病の惨劇を繰り返さぬよう、正しい認識を後世に伝えるため平成5年に開館した施設である。
国内最大規模の水源の森復活運動 水源の森を守る沢畑館長
水俣川の上流、寒川沿いの久木野地区は、緑の豊かな水俣の中でも、さらに山深く、水の美しい地域。何と97パーセントが森で、約170世帯が暮している。
- 島村 菜津
- 1963年福岡生まれ、東京芸術大学、美術学部卒業。ノンフィクション作家。著作に『フィレンツェ連続殺人』(新潮社)『エクソシストと対話』で二十一世紀小学館ノンフィクション大賞優秀賞。『イタリアの魔力』(角川書店)、『スローフードな人生』(新潮社)、『スローフードな日本』(2006年2月発行、新潮社)、共著に『十人の聖なる人々』など。
(更新日:2007.8.9)
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