土は、植物の根っこを支えるだけのものじゃない土は神様からの授かりもの───日本において、肥料なる概念が生まれたのは鎌倉時代からと言われています。それまでの日本人は、「自然界(土)に人間の汚物などを入れてはならない」と考え、自然尊重の意識が当たり前だったようです。まさに土は神様からの授かりものと考えていたのでしょうね。 この土、はじめから地球にあったわけではありません。地球と月を比べてみましょう。月には土はありません。地球に土が誕生したのは、太陽の光と水が影響しています。かつて、太平洋上にクラカトア島が噴出しました。生物など存在しない溶岩が、わずか3ヶ月で藻類におおわれていたと言います。おそらくはじめの生物は、無機類を栄養源にする菌類だったと推測されます。そして最初の植物は地衣類。よく墓石なんかにへばりついているグレーの植物です。この類は、単独な植物ではなく、藻類と黴類の共同体です。彼らの出現によって次なる植物が生きることのできる土を作ります。そしてこの生きた土に苔が生え、また次なる植物が生きれる土が作られていくのです。そうやって悠久の時空を経て、山々には大木が生い茂り、草原には宝石をちりばめたような花々が咲き誇っているのです。
さて、その奇跡の土1cmが作られる時間はどれくらいだと思いますか?
そしてその土には1gあたりどれくらいのバクテリアが生息しているのでしょう? 今までの土壌学は、土は岩石が風化して粉末になったものであり、植物の根を支えている物質という形態だけを見てきました。土の本体であるイノチのサークルを無視してきたのです。それ故、植物の育つ3要素(N・P・K)を化学的に合成し、化学肥料なるものを生み出し、「植物は肥料で育つ」という間違った常識を作ってしまったと私は考えます。 結果、土壌の生物バランスはくずれ、その副作用として病気や害虫被害が日に日に増加していったのでしょう。現在、日本の農薬使用量は単位面積あたりに換算すると世界で一番です。そのような土壌を調べると1g中に生息するバクテリアは1億程度という報告もあります。まさに「死んだ土」といえるのではないでしょうか?
無肥料による自然栽培の土にも数多くの土壌微生物が生きています。その土壌微生物が根の周囲に生息し、病原菌が根を食い荒らし、病気が発生するのを防いだり、バクテリア自身が分解して作物の栄養分になったりします。山々が病気になったり、草原が虫食いで丸裸にならないのはこの作用によるものと考えます。一方、肥料、農薬づけの「死んだ土」においては、農薬を使用することで害虫や病原菌は退治できますが、同時に有効な土壌生物も死んでしまいます。根の回りの有効な微生物が死んでしまえば、生態系のバランスが崩れ、さらに病原菌に侵されやすくなります。これでは、砂漠化にむかうのも無理ありません。 私たちは、野菜や米の良し悪しを判断する上で、農薬の有無を判断基準にする傾向がありますが、農薬散布は結果論です。無農薬の野菜は農薬がかかっていないから良いのではありません。病気にならず、害虫のえじきにならなかった本来の植物の姿だから良いのです。一般では「農薬を使わなければ商品にならない」という言葉をよく耳にしますが、このこと自体、異常なことです。この異常さに疑問を持ちましょう。農薬を使わないことが普通のことですから。 自然のメカニズムは複雑で人間ごときにそう簡単にわかるはずはありませんが、まずひとつとして、肥料そのものに問題があることは確かなようです。 次回は、良い土とはどういう土を指すのか、考えてみたいと思います。 関連リンク |


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