地球にリスペクト! Vol.02

 「本当の実感を伴った支持」こそが求めるもの

TAKESHI KOBAYASHI 小林武史さん

 小林と櫻井がap bankの可能性をさらに広げるために結成したBank Bandのアルバム『沿志奏逢』で聴くことができるJ-POPの名曲のカバーは、いずれもオリジナルへの深い愛情、さらに言えば感謝の気持ちを強く感じさせる。それは、音楽ファンとしての小林や櫻井がそれらの名曲たちを”それぞれ好きに楽しむべし”と思って楽しみ尽くした果てに生まれた感情だろう。好きなものを思いきり味わい尽くすことの果ての感謝。その有り様は、小林が言う「そのうえでどう生きるか」という問題についての、ひとつのヒントのようにも思える。そして、小林が来年KURKKUというプロジェクトで消費の現場を作るというのも「味わい尽くすことの果ての感謝」への試みだと解釈してしまうのは短絡に過ぎるだろうか?

 「たとえば、デザインとか価格とかいろんなことのバランスが考え尽くされているなあと思ったら、いきなり愛みたいなものがガーンと伝わってくることがありますよね。僕は湯布院が好きで行くんですが、あそこの旅館っていろんなことを本当におろそかにしていなくて、だからと言ってバブリーじゃないんです。

 そういうこだわりみたいなことがあるバランスのなかで突き詰められたものに出会うとすごい実感になり得るということですよね。で、それを支えるのは人だから、そういう人が育っていくということが大切なんだろう、と。僕がKURKKUのプロジェクトにいちばん期待していることは、そこで働く人たちが実感として楽しい、良かったと思えるということですよね。そうなれば、おそらくそこに集まってくるお客さんもいいねってことになると思うんです。それは音楽でも同じですから。で、そういうのが本当の成功例だと思うんです。本当の実感を伴った支持っていうのが。人間の体を1回ちゃんと通るというか、そういう実感を伴った”良かった”と思える感覚ですよね」

 「体を通してないものは僕は信用しないんです」と、小林は笑う。その理知的な実感主義とでも呼ぶべき彼のスタンスは、音楽などのクリエイティブな活動を通して、またap bankの活動を通して、確実に人々の気持ちに広がっていくのだろう。