vol.12 一石三鳥といえる環境にやさしい新技術にかける
若山利文さん
Profile
1939年、新潟県生まれ。東京外国語大学フランス語科卒業。(在日)フランス大使館、商務部勤務。1980年、日本ユーロテック株式会社 代表取締役就任。日本エダップ・テクノメド社(日仏合弁)、セーヌ河船上レストラン(パリ)、ネイタス・ジャパン社(日米合弁)、バガテル・ジャポン社、(株)水素研究所、サンテ・コーポレーション社など15社の設立・経営に関与。
現在、株式会社BBB代表取締役。 La Médaille de la Ville de Paris受賞。
著書:「マイナス水素イオンと健康革命」「水素と生命」(NaNaブックス)
バイオマスで循環型社会を目指す、その原点は…
地球環境問題や食の安全・安心が大きな関心事となっている今、農業公害と言われている蓄糞の処理と有機農業、有機畜産、有機水産の振興を結ぶ新しいパラダイムの展開を推進する株式会社BBBを設立し、ズーコンポストに賭ける若山社長を取材しました。新技術の事業化と普及に尽力する若山さんの着眼点の良さ、起業の原動力は彼の生い立ちの原点にあるようだ。

宮崎県都農町にあるバイオマス・ビレッジ“ビオ ファーム”
著書の中で、「戦時中、鉄工所を経営していた父は、資産のほとんどすべてを中島飛行機と日本カーボンの株式に変えていたので、敗戦と共に全財産を失い、戦後も間もない昭和23年には病を得て床に伏す身となった。・・・中略・・・結局昭和25年の暮れも近い12月24日、父は心臓麻痺であっけなく他界してしまった。典型的な医療過誤であった。手に職を持たない母は、41歳で未亡人となり、6人の子供を育てなければならない。」そのときまだ小学校5年生だった若山さんはアルバイトで自分の学費を稼ぎながら中学・高校・大学に通った。その時の苦しかった環境を思うと、その後どんなことにも耐えられたという。
この時の経験が後に「誰もやらないことを事業化する」というパイオニア精神を培った。
貧乏学生生活から、グルメ三昧の生活へ
大学ではわずかな奨学金を頼りに、若山さんの24時間フランス語漬けの猛勉強が始まった。日本の高度成長でヨーロッパ人、特にフランス人の間で文化人や財界人が来日することが多くなり、在学中にアルバイトで通訳やガイドをするようになった。
フランス語ができるというだけではガイドにはなれない。日本の社会、政治、経済に関する深い知識がないと外国人VIPを満足させることは出来ない。日本文化の伝統、様式についての膨大な情報を記憶し、それを自分の言葉としてフランス語で説明することは大変だ。しかし、若山さんは「フランス語の習得に要したあの努力と比べれば苦労でもなんでもなかった」という。
フランス人が例外なく感嘆の声を挙げたのは、夕暮れどきに訪ねる清水寺本堂の桧皮葺きの屋根の美しさで、若山さんは、フランス人と一緒に京都や奈良の美しい寺社仏閣を訪ねて、それまで気が付かなかった日本の美しさも発見したという。ガイドをするようになって、若山さんは「貧乏学生生活から、一足飛びにグルメで贅沢三昧の生活へと華麗な転身を遂げることとなった」という。
外国人の視点で、日本文化の神髄を知る
1〜2週間朝から晩まで外国人客と一緒に旅行し、何百という質問を受け、それに答えるための勉強をするということを繰り返しているうちに「次第にフランス人の目でモノを見、彼らの論理と尺度でモノを考えるようになった」という若山さん。 「フランス人にとって、家族や友人と一緒にテーブルを囲んで楽しく会話をすることが人生の究極の目的であり、日本人は生きるために食べ、フランス人は食べるために生きる、と言っても良いほどの差があった」と当時を振り返る。
古都をガイドする際には、「仏教が日本文化の中に残した足跡への強い関心と鋭い質問」に明確な答えの要求のために勉強したそうだ。環境への思いもその頃から培われたものだろう。高度成長、列島改造で日本の良さや日本人の心意気が失われていく中、フランス人の視点が、日本古来の伝統、精神世界に深い関心を寄せていることに感銘を受けたという。
その後、大学を卒業した若山さんは、在日フランス大使館の商務経済部に勤務し、1970年の大阪万博の開催時期に、2000人を超えるあらゆる業界人の訪日のアレンジメントを任された機会に大使館を辞して会社を設立した。
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