素敵ないいことを始めよう オーガニックスマイル 第24回


Essay

3月の雪

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 いよいよ「愛・地球博」が開幕しましたね。日本で本格的な万博が開催されるのは、1970年に催された大阪万博以来35年ぶりとか。メインテーマは「自然の叡智(えいち)」ですが、次世代型の新交通システム「リニモ」や新しい都市交通システム「IMTS」による無人走行バスの導入や、循環型社会を目指した取り組み、ロボットの実用化プロジェクトをはじめ、様々な場面でIT技術が取り入れられているようです。今後の技術とエコロジーの融合に役立つ催しとなって欲しいと思います。

 開会に先がけてプレスオープンが行われたのですが、私はあいにく出張と重なってしまい、行くことが出来ませんでした。出張先は目覚しい発展を続ける中国の牽引力ともなっている産業都市、上海。前回の訪問から半年の間にも新しい建物ができ、その都会化ぶりは目を見張るばかりです。ただ、あまりにも急激な変化の中での弊害も出てきています。春先の上海は霞がかかることが多いのですが、どうもそればかりではなく、大気もかなり汚染されていることが街を歩いていても感じられます。

 かつて中国の風景の代名詞のようであった、通りをうめつくすような自転車の大群に変わり、原動機つきの自転車やスクーター、大型のバイク、そして朝夕にはひどい渋滞を起こすほどの自動車が通りいっぱいに走っています。自転車やスクーターに乗る人々は、大きなマスクをしたり、女性はスカーフで顔を覆っていたりします。もちろん、花粉症だからではなく、排気ガスとホコリの中を走らなければならないからです。

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 街はかなり近代化していますが、自動車については、環境に配慮された新しいものばかりが走っているわけではありません。誰もが新車を購入できるわけではいですし、急激な需要の増大により「走ればいい」という部分がないとも言い切れず、また、地方都市からの流入もありますから。もちろん、排気ガスだけの問題ではなく、上海近郊には景気の下支えとなっている工業生産物を生み出す工業地帯が広がっていますから、環境への影響は大きいでしょう。

 滞在中に上海から程近い茶の名産地、杭州へ行く機会を得ました。個人的な趣味のことで恐縮ですが、中国茶好きの私にとって、この時期に杭州へ行かれるのは願ってもないチャンス。杭州は中国十大銘茶のひとつ、龍井茶(ろんじんちゃ)の生産地。うまくいけば、今年の春茶の一番茶に出会えるかも知れないのです。

 その日は朝から、この時期の上海にしては珍しくピーカンのお天気。期待に胸をはずませながら列車に揺られること2時間ほど。そろそろ到着という頃、車窓の風景に目を疑いました。雪が残っているのです。どうやら昨日はけっこう雪が降りつもったようなのです。もともとこの地域はそれほど雪に見舞われることがなく、3月の雪はなんと20年ぶりとか。

 かつて南宋の都であり、浙江省の省都である杭州は、13世紀末には訪れたマルコ・ポーロに「世界で最も美しく華やかな街」と言わしめた美しい都市です。中でも名勝とされる「西湖(シーフー)」には「西湖十景」と呼ばれる特に景色の美しい場所があり、それぞれに石碑が建っているのですが、そのひとつに「断橋残雪」があります。雪景色を見るには最高のポイントだとのことですが、めったに実現することのないこの景色を見たり撮影するために数万人が押しかけたとか。今は石の橋ですが、この「西湖十景」が定められたころなら橋は間違いなく落ちていた(笑)ことでしょう。

 しかし、残念ながら私がこの「断橋残雪」の石碑の近くを通る頃には雪はすっかり消え、変わりにショッキングな事実が待っていました。新茶の茶摘の時期が10日ほど延びたうえ、茶畑の総面積の半分ほどがこの雪と寒さの影響を受けたとのこと。茶畑を歩いても、芽吹きはじめた茶樹は元気がなく、新芽もちぢこまって色も冴えません。そうでなくても高価な龍井茶の価格が高騰することは必至です。しかし、問題は茶葉の値段ではなく、ここでも異常気象が主要産業のひとつに多大な損害を与えていることです。

 中国の今日の繁栄の大きな要素のひとつが、沿岸部の工業の伸びです。もちろん上海に車や工場が増えたから杭州に雪が降った、などという短絡的な結果ではありませんが、まわりまわって長く守られてきた伝統や文化に悪影響を及ぼしていることの一例であることに間違いはありません。高度成長期の日本がそうであったように、中国は今、前だけを向いている感は否めません。次回2010年のに行われる万博の舞台は上海。それに向け、人々の環境への意識が高まっていくことを願わずにはいられません。

フリーライター 長晃枝

Journey to Slowlife

春、種を蒔いてみませんか。〜種は生き物、蒔いてこそ生かされる〜

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 寒い冬のトンネルを抜け、待ち遠しかった春の陽射しに、暖かな風。せっかくだから春を満喫しましょう。お花見はもちろんですが、春は種まきの季節。うららかなお休みの日にお庭やベランダに、お好みの種を蒔いてみませんか?

 今回は、散歩中ふらりと立ち寄った自然食品店で見つけた、「種」についてのお話です。 お話下さったのは、農薬や化学肥料を使わずに栽培・採種された野菜やハーブの種を扱う「たねの森」の紙英三郎さん。

 「たねの森」で現在扱っている野菜・ハーブ・花の種は計約50種類。すべての種が海外のオーガニック認証を受けた農場で栽培され、採種後の化学処理も一切行なわれていません。そしてすべて自家採種ができる固定種で、その多くが先祖代々受け継がれてきた「エアルーム」とよばれる伝統品種です。

 このこだわりの「たね屋さん」をどうして始められたのでしょうか。

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 元々、種は採種を繰り返すことで、その地域の気候や土地の性質に適応し、地域の食文化を育んできました。大根は、なじみがある分かりやすい例です。関東では耕土の深さを生かして練馬大根や三浦大根が生まれ、京都では逆に根の短い丸型の聖護院大根が生まれました。鹿児島には年中温暖な気候を生かして一本が20キロにもなる桜島大根がありますし、守口大根はひょろひょろと1m以上にも深く長〜くなります。その土地それぞれの気候風土に応じて大根が姿を変え、地域の食文化、言いかえれば郷土料理、スローフードを育んできたわけです。

 ところが経済効率が優先される流れの中で、農作物でも均質・画一化が要求されるようになりました。その要求に応えたのが一代交配種(F1)と呼ばれるものです。

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 交配種というのは異なる品種を掛け合わせて作られた種のことをいいますが、その種を蒔くと雑種強勢という力が働き、生育旺盛で均質に生育するという特長を持ちます。さらに、長距離輸送にも耐えうる性質を持ちますが、農薬・化学肥料の使用が前提あるいは推奨されている場合がほとんどであり、「種子消毒(つまり採種後種を蒔くまでの殺虫処理)」として農薬がかけられているそうです。(写真上;化学処理後着色された種 写真下;本来の種の姿)また種を自家採種しても翌年は同じ品質のものができないため、毎年種を購入しなければなりません。

 大根の場合、大きくなってもスが入らないという性質を持つ青首大根が登場して以来、一般に流通する大根のほとんどは青首大根一辺倒になりました。

 こうした均一化は、生産拠点が海外に移ることも促しました。日本で栽培しようと、海外で栽培しようと、同じ事だからです。地域の個性をなくしたことが、日本の農業の衰退に拍車を掛けています。

 また、近年では遺伝子組み換えによっても新しい品種が次々と作られています。除草剤を撒いてもその作物だけは枯れないようにしたり、特定の害虫に対して毒性を持たせたり、種が自家採種できないようにする性質を持たせたり。これらの組み換え植物は、国によって安全性が承認されていることにはなっています。

 そんな中、日本ではまだ栽培が認められていない組み換えナタネや組み換えトウモロコシが、搾油用や飼料用として輸入された港湾にこぼれ、自生しているというショッキングなニュースも飛び込んできました。ナタネ油を絞るための菜の花は蜂や蝶などの昆虫が、トウモロコシは風が花粉を運びます。自分では「有機栽培」「非遺伝子組み換え」で栽培しているつもりでも、昆虫や風が花粉を運び、知らない間に組み換えナタネを作ってしまう可能性がこれから増えていくかもしれません。

 「種は食べ物の原点であるのに、これまで種をめぐる問題が一般にはほとんど伝わってこなかった。自家採種できる固定種は人類の共有の財産。それがどんどん失われ、個性ある野菜が世界から消えています。交配種や遺伝子組み換え種を作る一握りの種苗会社が世界の食料支配を始めています。」と紙さん。

 FAO(国連食糧農業機関)によれば、この100年間に食用作物の75%の遺伝的多様性が失われたという調査報告もあります。自家採種ができる「固定種」は、持続可能な暮らしや社会を想定した時、欠かすことができないもの。そして、その土地の気候風土に応じて変化し、多様で豊かな食文化を生み出していきます。

 「種は生き物、蒔いてこそ生かされる。だから、少しでも多くの人に固定種を蒔いて欲しい。」そうして、オーガニックの固定種を子供たちの世代に引き継ぐこと、それが「たねの森」をスタートした理由なのです。

 種から食文化の成り立ちや農業のこと、色々垣間見えてきますね。そんなことをちらりと、心にとめながら、まずは種をまいてみましょうか。プランターでも、サラダミックスや小さいニンジン、ラディッシュ、ブロッコリやエンドウなど、夏には楽しい収穫と料理の時間が待っています。

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BeGood Info
愛知万博 2005年3月25日〜9月25日
BeGood Cafeレストラン&オーガニックガーデン出展してます!
東京 2005年4月16日(土)
BeGood Cafe 東京 Vol.76
テーマ「アースデイ宣言!」

静岡 2005年6月4日(土)
BeGood Cafe 静岡 Vol.13
テーマ「フェアトレード」
福岡 2005年6月5日(日)
BeGood Cafe 福岡
テーマ「環境(代替エネルギー)

このページはNPO法人BeGood Cafeが制作しています。
BeGood Cafeは月に一度オープンする非営利のオーガニック&コミュニティカフェです。 1999年から環境保護や教育・社会問題をテーマにしたシンポジウムを開催し、現在全国10カ所に活動が広がっています。詳しくはhttp://begoodcafe.comへ。

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