第12話 国民総幸福量(Gross National Happiness):経済的に、精神的に豊かであるということ
【レポート】上田 晶子
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陽だまりで念仏を唱えながらお数珠を繰っているおじいさん。
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国民総幸福量とはブータンの開発政策の根幹をなす概念で、ブータンの現国王によって1980年代に唱えられたといわれています。現国王は、国民総幸福量の増大は、経済成長よりも重要であるとはっきりと述べています。この概念は、特に最近ブータンの国内外で開発政策に新たな視点をもたらすものとして注目され始めており、2004年2月にティンプで開かれた第一回の国際会議につづき、2005年6月20日からは、カナダで国民総幸福量に関する第二回の国際会議が開かれました。今回は、このブータン独自の概念に基づいて、ブータンがどのような国づくりを目指しているのかを紹介します。
国民総幸福量という概念を初めて聞いた人の多くが発する質問のひとつが、幸福という一見非常に主観的に聞こえる概念を国の政策に取り込むことの妥当性についてです。何が幸せかという問いに対する答えは、人によってまちまちで、それを政策に取り込むことは不可能に近いという考え方です。今年5月にブータンで初めて行われた国勢調査にあった「あなたは幸せですか」という質問にも、多少戸惑ったブータン人がいたようでした。私の周囲のブータン人からは、質問が漠然としすぎていて、家族との生活に幸せを感じているかとか、仕事に生きがいを感じているかといった、もう少し限定的な質問にして欲しかったという声が聞かれました。
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ブータンの政策の中では、国民総幸福量には4つの主要な柱があるとされています。それらは、持続可能で公平な社会経済開発、自然環境の保護、有形、無形文化財の保護、そして良い統治です。経済開発に一辺倒になって、自然環境が破壊されたり、ブータンの伝統文化が失われてしまっては、何の意味のないというのが、この政策の精神です。この国民総幸福量の増大の精神にのっとり、社会開発には特に篤い政策がとられています。例えば、医療費は無料ですし、教育費も制服代などの一部を除いて無料です。また、国土に占める森林面積は現在約72%で、今後も最低でも国土の60%以上の森林面積を保つ方針が打ち出されています。また、良い統治という面では、行政と意思決定の両面での地方分権化が進んでいます。人々は、自分達の住んでいる地域の開発プランについて、自分たちで優先順位を決め、中央政府に提案します。
国土に占める森林面積は70%以上。生物の多様性も高い。
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ヒマラヤの雪解け水は多くの生き物と人々にとっての恵みです。
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