
温暖化対策の価値を検証する際には、目先の費用だけでなく、投資の効果やリターンを長い目で見ることが大事
「25%削減」という目標は、家計にどう影響するの?
「2020年の温室効果ガス排出量を、1990年比で25%削減する」。日本が昨年12月にデンマークで行われた国連気候変動枠組条約第15回締約国会議(COP15)の「コペンハーゲン合意」に基づき、同条約事務局に提出した中期目標だ。政府はこの目標を達成するための行動を「チャレンジ25」と銘打ち、キャンペーンも行っている。一方で、従来よりも高い目標設定に対しては、家計への影響を指摘する意見も多い。確かに、25%削減の実現には、これまで以上の省エネや資源の節約に加えて、太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入したり、マイカーをハイブリッド(HV)車などのエコカーに買い替えたりするといった努力をする必要があるだろう。旧政権下で示された資料の中には、一世帯あたりの可処分所得が年間で36万円減ると示唆するものもあった。
しかし、この数字には温暖化対策を進めることで得られるプラスの効果が反映されておらず、政府の地球温暖化問題に関する閣僚委員会はより正確な情報を提供するための試算を進めている。今のところ2020年の所得が22〜77万円目減りするという見込みが示されてはいるものの、あくまで目安だ。私たちが温暖化対策のために投資する額はどの程度で、その分の元は取れるのだろうか。ここで参考になるのが、国立環境研究所の温暖化対策統合評価モデル(AIM)プロジェクトチームが昨年10月に公表した「我が家の低炭素生活実現計画」だ。低炭素社会を実現するため、一般家庭でどの程度の投資が必要かを試算している。モデル世帯は、関東地方にある2人以上の家族で、自動車を1台所有しているという設定だ。
それによると、家を建て替える場合は、断熱化を進めるとともに太陽光発電や高効率給湯器の導入、HV車への買い替えなど320万円の追加投資を行うことで、2020年に二酸化炭素(CO2)の排出量を76%削減することができる。しかも、2年後には経済的なリターンが投資額を上回り、2030年までに累積で90万円のもうけが出る。また、建て替えを行わない場合でも、180万円の追加投資によりCO2排出量を71%削減することが可能で、2030年までに同じく170万円のもうけになるという。温暖化対策の価値を検証する際には、目先の費用だけでなく、投資の効果やリターンを長い目で見て判断することが大事だ。
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