環境用語集 〜環境について調べる〜
アスベスト(Asbestos) 詳細解説
アスベストは、火山から噴出した溶岩が水で冷やされるときに、結晶が繊維状に成長してできる鉱物だ。綿のように柔らかな繊維であるために石綿とも呼ばれる。熱や摩擦に強いことから建築材やボイラー暖房パイプの被覆さらには自動車のブレーキなどに利用されてきた。
しかし、アスベストの繊維を吸い込むと、肺に突き刺さり、肺がんや中皮種(ちゅうひしゅ)という腫瘍などを引き起こすことがわかってきた。特に肺がんの発生率は高く、アスベスト作業者を一般人と比較すると、がんの発生率は7〜8倍、これに喫煙が加わると50倍になるという調査結果もある。
こうしたアスベストによって引き起こされる、がんなどの症状は、曝露してから20〜50年という長い期間を経て発症する場合もあるため「静かなる爆弾」と名づけられている。日本では、アスベスト曝露による肺がんは1960年に、中皮種は1973年に報告され、以来、アスベスト関連疾患はアスベスト製品製造工場だけでなく、造船、港湾、自動車製品工場、建設現場などで報告されてきた。
わが国で特に大きく取り上げられるようになったのは、1987年頃から学校や公営住宅などで、鉄骨などに吹き付けたアスベストが問題となってからだ。地方自治体、当時の文部省、環境庁などが吹き付けアスベストを使用している建物の調査を行ったり、各地でアスベスト対策を求めたりする市民団体が次々と誕生した。こうした経緯からさまざまなアスベスト規制の法律が整備されていった。1989年に大気汚染防止法が改正され、アスベストは「特定粉塵」と認定され、アスベスト工場などの規制基準が定められた。また、1991年には廃棄物処理法が改正され、吹き付けアスベストは、特別管理産業廃棄物に指定された。こうした中、1995年に起きた阪神・淡路大震災によって倒壊した建物を解体工事する際に飛散したアスベストが大気汚染を引き起こし、あらためてアスベストが社会的な問題としてクローズアップされた。
1997年には大気汚染防止法が再度改正され、吹き付けアスベストによる建物の解体工事の届出、マニュアルの遵守などが義務付けられた。
しかし、2005年6月に、クボタ旧神崎工場の周辺住民約20人がアスベストによる疾患で死亡していたことがわかるなど、アスベスト汚染の実態が明らかになった。また、かつてアスベストを使用して建築した建物が建て替えなどで解体される際に、きちんとした処置を施さないと環境を汚染すると心配されている。
このため、厚生労働省では2005年7月から「石綿障害予防規則」を省令として制定し、建物解体作業時のアスベスト曝露防止対策の充実を図っている。また、政府は2006年の通常国会に、アスベストによる被害者への補償について定めるアスベスト新法を提出した。
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